生きていると、不安に思うこともいっぱいあるものです。
「この仕事、私にできるかな」「私の将来、大丈夫なのかな」。などなど。
こうした身近な不安だけではありません。
日本経済の先行き、大地震の不安、などなど、不安に思う材料には事欠きません。
不安やイライラって、いやなものです。
こういう「イヤな感情」がなければ、どれほど楽になるのかとも思います。こういう感情って、なくせるのでしょうか?
伝統的な療法として、「森田療法」というのがあります。
これは20世紀はじめに森田正馬という精神科医によって考案された療法。
この森田療法を使って、感情との付き合い方について考えてみたいと思います。
西洋医学では、症状というのは「治すもの」「制御するもの」と考えられてきました。
だから「不安だ」「イライラする」という精神症状を、薬で沈めて、マイナスにとらえがちな認知をプラスに持って行く「制御のための治療」がとられます。
しかし、森田療法は東洋医学であり、この考え方がちょっと違います。
症羽状というのは自然にでてくるので、なくせないと考えているのです。
精神症状につながる不快な感情も、あくまで自然の感情なので、そのままにしていくべきだということです。
不安を感じたときに、「気を強く持とう」と自分に言い聞かせますよね。
イライラしていたら、「もっと落ち着こう」と思ったり。
でもそういう自分の気持ちとは反対に、ますますその感情に支配されて、不安やイライラがつのったりすることはありませんか?
そこで、感情というのは変えられないのだから、そのままにしておいたほうがいい、と思ってみてはいかがでしょうか。
心が軽くなるのがわかるはずです。
これが森田療法の発想です。
森田療法には5つの「感情の法則」があります。
①感情をそのまま自然のままに任せると、ひとりでに上り下りして、消失する
②感情はその衝動を満足させれば静まり、消失する
③感情は同じ感覚に慣れると鈍くなって感じなくなる
④感情は刺激が継続して起こるときと、注意に集中するとき、ますます強くうなる
⑤感情は新しい経験で体得し、反復することにより、ますます要請される
この心は、「感情は自然に沸き上がり、意思の力ではどうにもならない。自然に消えていくので刺激せず、そのままにしておきましょう」というもの。
うーん、達観した考えですね。というか真実です。
アンガーコントロールなんかも、これに通じるところがありそうです。
森田療法では、そのときどきの感情に振り回される「気分本位」の行動でなく、そのときで何をしたいのかに基づく「目的本位」の行動をとるべきだといっています。
「あの人が苦手だからこの学校に入るのはやめておこう」ではなく、「この学校でこれを習いたいから参加する」というのが目的本位。
このように、目的に基づいて合理的に考えるところが森田療法の特徴。
ビジネスや教育など、医療を越えた様々な分野で活用されている考え方であるのはそのためです。
くよくよしてつらいというときは、森田療法を試してみてはいかがでしょうか?
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